2023年9月22日(金)〜24日(日)の3日間に渡り、山口情報芸術センター[YCAM]で開かれる、「高品質な大音量の中でレコードやCDなどの録音物を聴取するリスニングイベント」。監修は、「GRENZFREQUENZ 限界振動」の時に大変お世話になった、大城真(Basic Function)さん。
前回もとても面白かったと関係者の皆さんから聞いていましたが(行きたかった…)、今回も、それぞれのプログラムが非常に充実していて、とても素晴らしい内容だと思います。強くおすすめします!!(入江)
以下、概要です。
Audio Base Camp #2
開催日時
2023年9月22日(金)〜24日(日)会場
スタジオA有料
要チケット購入録音物の深淵を覗く
高品質な大音量の中でレコードやCDなどの録音物を聴取するリスニングイベントです。
Audio Base Campは、国内でも最高レベルの音響環境と言われるYCAMのスタジオAに、ライブ・コンサート向けの大規模かつ高品質なスピーカーをセッティングし、特定のテーマに沿った録音物を楽しむイベントで、今回が昨年に続いて2回目の開催となります。
アーティストでサウンドエンジニアの大城真を監修に迎え、研究者やアーティスト、ミュージシャンなどさまざまな専門家が、自作の楽曲や、フィールドレコーディング、アンビエント音楽といったテーマに応じて多種多様な録音物を紹介します。またレコードに造詣の深い「目利き」とも言えるDJたちによるDJプログラムも開催。
繊細かつ大迫力の大音響に身を委ねながら、録音物を楽しむ本イベントは、人間の基本的な行為である「聞く/聴く」を捉え直すとともに、録音物を通じた音の冒険へと鑑賞者を誘います。
プログラム
レーベル&レコードフェア
EM Records、Art Into Life、カンパニー社 / p.minor、FOREVER RECORDS、Tobira Records、SEXTANS、conatala / pianola records、360°records、ぐらもくらぶ、Basic Function、Helicopter Records / cosmowholesale開催日時
2023年9月22日(金) 16:00〜21:00
2023年9月23日(土) 12:00〜19:00
2023年9月24日(日) 12:00〜19:00日本中から音楽レーベル兼レコードショップが山口に集結
日本各地の音楽レーベル兼レコードショップによるレコードやCDなどの販売会です。Audio Base Campの開催期間中、音楽レーベルでリリースしているレコードやCDを中心に、貴重な音源を販売します。
詳細:https://www.ycam.jp/events/2023/label-fair-of-audio-base/
トクサノカンダカラ
宇都宮泰開催日時
2023年9月22日(金) 19:00〜21:00音響技術者の宇都宮泰によるリスニングイベントです。高品質な大音量の中でレコードやCDなどの録音物を聴取するリスニングイベント「Audio Base Camp #2」のプログラムとして開催します。
音響技術者の宇都宮泰が2001年に学習教材用作品として発表した「トクサノカンダカラ」の秘密を自ら紐解きます。本作は、クリス・カトラー、フレッド・フリス、ダグマー・クラウゼによって結成されたイギリスの前衛的ロックバンドであるアートベアーズの楽曲「オン・スーサイド」(1978年)の宇都宮によるリミックスであると同時に、その過程を記録した音源集でもあります。通常のリミックス作品のような、一種のリアレンジ的なアプローチではなく、楽曲の根本をなすメロディーの構造自体を作り変えながらも維持される楽曲の同一性を通して、音楽の本質の謎を紐解いていきます。
詳細:https://www.ycam.jp/events/2023/program-1-of-audio-base-camp/
DJプログラム(1)
AKIRAM EN、EMARLE、パク・ダハム開催日時
9月22日(金) 21:30〜アンビエント・リサーチ
虹釜太郎、金子智太郎開催日時
2023年9月23日(土) 12:30〜15:30360°recordsなどのレーベルを運営してきた虹釜太郎と、美学研究者の金子智太郎が主宰する、アンビエント・ミュージックの可能性を探求する連続研究会型イベントです。高品質な大音量の中でレコードやCDなどの録音物を聴取するリスニングイベント「Audio Base Camp #2」のプログラムとして開催します。
「アンビエント・リサーチ」では、毎回テーマを定め、資料などを見ながら音源を聴いてきました。第1回「人間は本当に必要か」(2010年)。第2回「サウンド・マター」(2010年)。第3回「ディストピア」(2010年)。第4回「不在」(2020年、非公開)。第5回となる今回のテーマは「アイソレーショニズム」です。
虹釜太郎+金子智太郎のコメント
「アイソレーショニズム」は、1994年にヴァージンからリリースされたコンピレーション・アルバム「アンビエント4 アイソレーショニズム」に由来します。近年はザ・バグ名義などの活動で知られるケヴィン・マーティンが手がけたこのアルバムは、テクノの実験をふまえながらインダストリアルの響きを彷彿とさせる、アンビエントの楽観的な面を削ぎ落としたかのようなコンピレーションでした。「アイソレーショニズム」は直訳すると「孤立主義」。アンビエント・リサーチを始めたときから、主宰者二人にとってのアンビエントはアイソレーショニズムだったと言っていいほどです。今回はこのアルバムをふりかえりつつ、アイソレーショニストの精神に則って無関係な音源を聴きます。詳細:https://www.ycam.jp/events/2023/program-2-of-audio-base-camp/
75年前のマイクで音を録る—大土蔵録音設計図
保利透、泊開催日時
2023年9月23日(土) 16:30〜18:30プロデューサーの保利透と音楽ユニット・泊によるリスニングイベントです。高品質な大音量の中でレコードやCDなどの録音物を聴取するリスニングイベント「Audio Base Camp #2」のプログラムとして開催します。
戦前に製造されたレコード(SP盤)の復刻を手がけるプロデューサー・保利透が近年取り組んでいる「大土蔵(おおどぞう)録音」について紐解きます。「大土蔵録音」は、戦前のマイクや歌唱法など、録音をとりまく様々な要素を再現して、当時の流行したジャズなどの楽曲を録音した音源のシリーズで、歌手/漫画家の山田参助とG.C.R.管弦楽団とともに制作した「大土蔵録音2020」は、第34回ミュージック・ペンクラブ音楽賞のポピュラー部門で最優秀作品賞を受賞しました。今回は、保利に加え、山田とギタリスト武村篤彦の音楽ユニット・泊を迎え、1本のマイクのみを使用し、演奏者たちの位置や演奏そのもので音のバランスを調整する当時の録音手法の実演を交えながら、当時の音楽制作について考えを深めていきます。
保利透のコメント
レコードを集めたり聴いたりすることでわかるユーザー側の視点とは大きく違い、ある意味の諦観などを含めた制作現場での苦悩などを演奏者たちと時空を超えて体感した気がします。
送り手側が考えている創作物が受け取り手にそのまま伝わるのかどうか、録音と言う現象の難しさを共有できたらと思います。詳細:https://www.ycam.jp/events/2023/program-3-of-audio-base-camp/
DJプログラム(2)
DJ pin、なべこ、李ペリー開催日時
9月23日(土) 19:30〜22:00フィールド・レコーディングを通して感応する世界
柳沢英輔開催日時
2023年9月24日(日) 13:00〜15:00フィールドレコーディング作家の柳沢英輔によるリスニングイベントです。高品質な大音量の中でレコードやCDなどの録音物を聴取するリスニングイベント「Audio Base Camp #2」のプログラムとして開催します。
柳沢は、これまでベトナム中部の金属打楽器ゴングをめぐる音の文化について研究を行うとともに、場所や空間の特徴的な響きに焦点を当てたフィールドレコーディング作品を制作してきました。2022年にはフィールドレコーディングをひとつの音楽ジャンルとしてではなく、幅広い視点で捉え直した著書「フィールド・レコーディング入門 響きのなかで世界と出会う」(フィルムアート社)も発表、音楽本大賞を受賞するなど注目を集めている。このプログラムでは、柳沢の活動やその背景にある方法論について、実際に音源を交えながら紹介していきます。
本人コメント
フィールド・レコーディングという実践には主に3つの「聴く」行為があります。一つはマイクとヘッドフォンを通してその場の音を聴く行為、次に自分が録音した音をパソコンなどで聴く行為、そして他者の音源(作品)を聴く行為です。これらの行為は相互に関連していますが、それぞれに異なる面白さがあるように思います。
このトークではそうしたフィールド・レコーディングにまつわる「聴く」という行為の魅力を、これまでに録音した音源を紹介しながらお伝えできればと思います。詳細:https://www.ycam.jp/events/2023/program-4-of-audio-base-camp/
ミャンマー音楽の謎めいた世界へ
村上巨樹開催日時
2023年9月24日(日) 16:00〜18:00ギタリストで、ミャンマー音楽研究家の村上巨樹によるリスニングイベントです。高品質な大音量の中でレコードやCDなどの録音物を聴取するリスニングイベント「Audio Base Camp #2」のプログラムとして開催します。
村上が継続的に開催する、日本で唯一のミャンマー音楽に焦点を当てたトークイベントがAudio Base Campに登場。クーデターやコロナ禍によって、一時期に比べると渡航が難しくなってしまったミャンマー。そこには独特な音楽文化が根付いています。村上は2016年以降、毎年ミャンマーに渡り、現地の音楽を調査してきました。ここでは、奇妙かつ美しく進化したミャンマー音楽の独自性や魅力について、現地に足繁く通う村上が収集したレコード、カセット、CDなどを通じて紹介します。
村上巨樹のコメント
日本人にとってミャンマーと言えば「ビルマの竪琴」か「アウンサンスーチー」でしょうか。もしくは2021年に軍事クーデターが起きた「怖い国」かもしれません。しかし政治状況がどうあれ、多分に漏れず、そこには音楽があります。しかもミャンマーにはユニークかつ超絶的な音楽が大量にあります。
知られざる音楽大国・ミャンマーの歴史と魅力を、レコード(CDやカセットもあり)を通じて体感いただければと思います。詳細:https://www.ycam.jp/events/2023/program-5-of-audio-base-camp/
スペシャルプログラム
開催日時
9月24日(日) 19:00〜21:00
*チケット情報など詳細は、https://www.ycam.jp/events/2023/audio-base-camp-2 でご確認ください。