アクセシビリティに特化したオンライン劇場『THEATRE for ALL』を運営してきた株式会社precogによる新たな挑戦『TRANSLATION for ALL』。その一環として2023年5月19日〜21日に品川・ANOMALYで行われた、パフォーマンス集団contact Gonzoと、美術家やんツーによる新作パフォーマンス「jactynogg zontaanaco ジャkuティー乃愚・存taアkoコ」の初日公演を見てきた。
初めて見るcontact Gonzoのパフォーマンスは想像よりはるかに生々しく、個人的にはプロレス、中でもデスマッチを見ている時に近い興奮があり、一方、やんツーの製作した2台の自走機械によるAIの実況は、その興奮から引き戻してくれるようなハッとする言葉を時折投じてくる。時間を感じさせず、あっという間の約60分だった。
アクセシビリティの観点からすると、非常に情報量が多くスピードも早いこのパフォーマンスが、視覚・聴覚の障害を持つ方達にどれほど伝わったかは気になるところである。事前に大阪・北加賀屋で行われたというワークインプログレスのレポートによると、その時点ではAIの実況のみで、人間の実況は入っていなかったようだ。「あらかじめ鑑賞者に対して、前提や狙いをどこまで伝えるべきかの難しさ」という課題はまだ残るが、「作品コンセプトやその実験性に基づいて創作する「作家オリジナルのバリアフリー」の模索を続けて」いるTHATRE for ALLの取り組みは引き続き応援していきたいと思う。
日程:2023年5月19日(金)〜21日(日)
会場:ANOMALY(東京都品川区東品川1-33-10)
演出・構成:contact Gonzo、やんツー
出演:contact Gonzo(塚原悠也、三ヶ尻敬悟、松見拓也、NAZE)
テクニカルデザイン:やんツー、稲福孝信(HAUS)
舞台監督:河内崇
実況:仁田晶凱
視覚障害者モニター:山川秀樹、石井健介、加藤秀幸
記録写真:高野ユリカ
記録映像:松本亮太
プロデューサー:黄木多美子(株式会社precog)
コンセプトアドバイザー:井高久美子
プロジェクトマネージャー:加藤奈紬
票券、アシスタントプロジェクトマネージャー:村上瑛真(株式会社precog)主催:株式会社precog
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、芸術文化振興基金
協力:ANOMALY、一般財団法人おおさか創造千島財団、株式会社おとも
*『TRANSLATION for ALL』の企画として、5月27日(土)には、渋谷パルコ10F「ComMunE」にて蓮沼執太、梅原 徹、宮坂遼太郎による参加型演奏会「PLAY?ーあそぶ?おとをだす?」を開催予定とのこと。こちらも是非。